Glass Canvass architectural image - Trafalgar Way

 

最先端のプロ向けグラフィックスとプロセッサーを活用して、技術的に要求の厳しい建築ビジュアライゼーションをどのように美しく実現しているかについて、ロンドンの大手スタジオGlass Canvas社にお話をお聞きしました。 一級(最高に重要な建造物)のタウンハウスからから現代的な高層ビルの外壁に至るまで、世界で最も美しい建築ビジュアライゼーションを実現しています。 同スタジオは静止画像やアニメーションだけでなく、最近では安全衛生用途や重要な都市開発のプレゼンテーションプロジェクトなどのVR制作も手掛けています。

テクニカル・ディレクターのBill Nuttall氏が、スタジオにあふれる創造的精神、2万5,000ピクセルに及ぶトロンプ・ルイユ(騙し絵)の板囲いを実現するために必要なハードウェア、そして非常に臨場感あふれるバーチャル・リアリティ体験を生み出す芸術性について語ってくれました。

 

Bill Nuttall and Andrew Goodeve

Q&A

AMD:Glass Canvasはどのように設立されたのですか?

Bill Nuttall氏: このスタジオは、2001年にAndrew Goodeveによって設立されました。 それ以前、Andrewは可視化担当者としてFoster + Partnersに勤務していましたが、3年ほど経つと彼は起業したいと考えるようになりました。 当時、ロンドンには建築ビジュアライゼーションを手掛けている会社はそれほどありませんでした。

私が正社員としてGlass Canvasに入社したのは2005年のことになります。 私は元は建築家でしたが、建築プロセスにおけるより創造的な段階、特にソフトウェアと3Dモデリング関連の業務に就くことを希望していました。 Glass Canvasのいくつかのフリーランスの仕事に携わった後、アンドリューから一緒に働かないかと誘われ、今に至っています。 現在、アンドリューと私は共同経営者です。

Glass Canvas office

AMD:これまでに貴社はどのように変化しましたか?

BN氏: 私が入社した当時は、シャッド・テムズ [ロンドンのタワーブリッジの脇にある歴史的な川沿いの通り] に所在するオフィスで、8~9人が働いていました。 数回引っ越ししましたが、その間、業界の大きな変化に揉まれました。 最も大きかった打撃は、2008年の景気後退です。 全く仕事が来なくなりました。 しかし、慎重に予算編成することでそれをなんとか乗り越えた後、人員を徐々に増やしてほぼ3倍の規模に成長することができました。

2年前にPixel & Sonsという姉妹会社を立ち上げ、クリエイティブ・ディレクターのAndrew Liがその会社を管理しています。ここでは、コマーシャル、製品、ブランドのCGやアニメーションを制作しています。 建築環境とは異なる他の市場に参入できるように、この会社はGlass Canvasのコア・ブランドから離れたところに位置付けられています。

昨年は、シェフィールドに所在する小規模なビジュアライゼーション・スタジオの株を買い入れました。これは、Glen Austinが管理しています。 長年にわたりビジュアライゼーションに携わってきたグレンは、自身が提供できる能力の幅を広げようとしています。 当社は経済振興策「ノーザン・パワーハウス」の対象都市に拠点を設けることを望んでいたので、これは1つの大きなマイルストーンとなりました。 シェフィールドのGlass Canvasを運営するグレンが、そのクライアントとチームを管理しています。 リソースとインフラストラクチャーを共有できることで、フリーランスの人員を雇わなくても、プロジェクトに十分に取り組むことができます。

AMD:Glass Canvasが携わる仕事の内容をかいつまんでお聞かせください。

BN氏: 実際のところ、建築ビジュアライゼーションに関連するすべてを手掛けています。 私は先週、カサブランカのマスタープランとして2分30秒のアニメーションを制作していましたが、今週に入ってイースト・ロンドンにおける多目的スキームの計画策定とマーケティング・イメージに取り組んでいます。

ビジョン・イメージやマスタープランのデザインを素早く制作しなければならないような雑なクリエイティブ・ブリーフもあれば、完璧な検証がなされた計画事業もあります。また、実に概念的なアニメーションに関与する場合もあります。 Glass Canvasグループ全体で、常に30〜40のプロジェクトが進行しています。

Glass Canvass architectural image - Trafalgar Way
Glass Canvass architectural image - Trafalgar Way

AMD:プロダクションではどのようなソフトウェアを使用していますか?

BN氏: モデリングに、Forest PackやRailCloneなどのプラグインとともにAutodesk® 3ds Max®を使用しています。レンダラーはChaos GroupのV-Rayです。ポストプロダクションはAdobe Photoshopで行っています。アニメーションにはAdobeスイートのAfter Effects、Premiere Pro、Auditionを利用し、3Dカメラ・トラッキングにはSynthEyesを用いています。バーチャル・リアリティの作品ではEpic GamesのUnreal Engineを使い、Autodesk® ReCap®を使用して写真をVRで使用するモデルに変換します。

 

AMD:ハードウェアについてはいかがですか?

BN氏:ハードウェアはすべて私が組み立てています。この10年間ほど、ずっとそうしてきました。 当社オフィスにあるすべてのハードウェアは、私が手で組み立てたものです。つまり、30TBのファイル・サーバーも含め、すべて粒よりのコンポーネントというわけです。

最も最近組み立てた4つのワークステーションには、AMDの16コア Ryzen® Threadripper® CPU、1950X、RAM 64GBを使用しました。現在、グラフィックス・カードはAMDのRadeon™ Pro WX 9100が第一選択肢です。3ds Maxで最高品質のビューポートが実現し、十分なフレーム・バッファとHBM2メモリーで起動することができます。

レンダリングはCPUベースですが、Ryzen Threadripperはこれに最適です。Intel®の製品と比べても、金額に見合う価値という点でこれは無比の製品です。極力多くのCPUを搭載したいので、Ryzen Threadripperチップを用いてレンダーファームを構築しようとは思いませんが、これは電力という点で、レンダーファームに使われるIntel® Xeonに間違いなく匹敵する製品です。

Glass Canvass architectural image - Nine Elms Square

AMD:レンダー設定はどうなっていますか?

BN氏:1つのラックに合計で約400コアを搭載しています。業務時間中は、アーティストたちはそれを自身のワークステーションの延長として使用することができます。そして、夜間には、アニメーション・フレームや通常5,000ピクセル×3,750ピクセルほどの大容量の単一フレーム画像をレンダリングするのに利用しています。

ここ数年はレンダリング・ノードを作成していませんが、もし機会があれば、新しいノードにはAMDのEPYCプロセッサーを使用するでしょう。これは、Intelの製品に比べて安価なのに、同等以上のレンダリング能力を発揮します。 Threadripper同様、これにも金額に見合う十分な価値があります。

 

AMD:Radeon™ Pro WX 9100 GPUを使用するメリットは何ですか?

BN氏:大規模な建築シーンでも、VRAMが不足する心配がありません。現在、GPUメモリーの業界標準はGDDR5ですが、メモリーが物理的にどのようにカードに配置されているかを考えると、これではボトルネックになる可能性があります。Radeon Pro WX 9100に使用されている16GBの高帯域幅メモリー(HBM2)なら、チップダイにスタックできるため、ボトルネックを回避できます。帯域幅を増加させることで、より高品質の画像でビューポートをより高速に作成できるGPUを使用することができます。AMDに比べると、他の [AMD以外の] カードはすべて、取るに足りない製品のように感じます。

 

AMD:ご使用のAMD CPUの主なメリットは何ですか?

BN氏:価格性能比です。現在、同等のIntel製品と比べると、価格性能比が2倍です。Intelが追い上げている製品として、HCCのCore i9が挙げられますが、これには2,000ポンド近くかかります。16コアのThreadripperなら、約800ポンドで入手できます。

AMDがRyzen ThreadripperとEPYC CPUで市場に戻ってきたことを私は大変喜んでいます。また、市場で競争があることも喜ばしいことです。

 

Glass Canvass architectural image - Wolverhampton

AMD:これまでにGlass Canvasが手掛けたプロジェクトの中で、最も技術的課題が大きかった事例をお聞かせください。

BN氏:ウォルヴァーハンプトン市のコマーシャルゲートウェイ・マスタープランはかなり激しいプロジェクトでした。これは、大規模な建物の集合体で、多くのForest Packオブジェクトが絡んでいました。手順を踏んで極力多くの配置を作ろうと努力しても、これはかなりのメモリーを食うのです。鳥瞰図では、屋根は手作業でモデル化されましたが、ファサードはすべてRailCloneオブジェクトです。4人編成のチームで、これ1つに6週間以上かかりました。

新しいプロジェクトが開始するごとに、詳細、範囲、品質、現実性など、少しでもより優れた作品を完成させたいと思っています。過去15年の間に典型的な仕事の納期にはそれほどの変化はありませんが、クライアントの期待の大きさが変わりました。それゆえに、当社はソフトウェア、ハードウェア、ワークフローを絶え間なくアップグレードしていかなければなりません。

Glass Canvass architectural image - Lewis Cubitt Park

AMD:これまでに引き受けた仕事の中で、最も奇妙なプロジェクトは何でしたか?

BN氏:ルイス・キュービット・パークの展望台はかなり異様でした。ビルの隣に鉄製の輸送用コンテナが2個投棄されたことで、公共用表示プラットフォームを作ることになりました。クライアントはなんとかしてこれを美しくみせようと必死だったようです。当社のソリューションは、構造物の周りを覆えるように、前面に1つと側面に1つ、2つの巨大なプリントを制作することでした。レンダリングの幅は2万5,000pxで、かなりのディテールが含まれていました。これにより、当社のシステムで利用可能なすべてのRAMのバイトが焼き尽くされました。 これまで関わったレンダリングの中で、これが最も激しいタスクでした。

AMD:最も記憶に残っているバーチャル・リアリティ・プロジェクトについてお聞かせください。

BN氏:ある建設会社の安全衛生のアプリケーションに関わったことがあります。機器の写真を撮影しなければならないのですが、そのフロントが自分の等身大ほどもある巨大な蒸気ローラーなのです。これを、アニメーション化されたモデルに変換するという作業です。当社のアーティストの1人が2日をかけて、100枚ほどの写真を精巧な3Dモデルに変換し、Unreal EngineとReCapで使用し、3ds Maxでクリーンアップしました。その作品をクライアントにデモしたときのことです。気の毒なことをしたと思いますが、先方の担当者がヘッドセットを着けて振り向いた途端に、蒸気ローラーが自分のほうに向かってくるのを見てパニックになり、叫びながら部屋の中を走り回って壁に追突してしまったのです。

 

AMD:まさかデモでクライアントを殺すつもりだったわけじゃありませんよね。

BN氏:結果的に、クライアントはかなり感動していました。非常に臨場感あふれる作品でした。

Glass Canvas architectural image - Lyric Square

 

AMD:優れたビジュアライゼーション・イメージを実現する秘訣を教えていただけますか?

BN氏:普通の美術館に展示されている作品とそれほど大きく異なるとは思いません。特にルネサンスの芸術など、よく目にする芸術作品には、2つの支配的な色が使用されています。多くの場合、青とオレンジといったような対照的な色、または紫や青のような調和的な色合いです。そして、強力な構成が必要です。第3のルールは、太古の昔から変わらず、今日でも非常に重要な要素となります。

また、偉大な写真家や映画監督、映画制作者の作品を研究することが大切です。こうした人たちの作品の構成におけるパターンやテーマを把握して、最良のカメラの動きや編集方法を見つけたら、それをノートに書き留めておきます。偉大な作品を見れば、それが偉大であることは直観でわかります。なぜそれが偉大なのかを理解することが鍵となります。

Glass Canvas office
Glass Canvas office
Glass Canvas office

AMD:Glass Canvasでの典型的な1日はどのようなものですか?

BN氏:大抵は、午前9時に出社して、午後6時に退社します 仕事が個人的な生活に入り込まないように、従業員は午後6時になったら帰宅してほしいと思っています。夜中まで働いているビジュアライゼーション・スタジオはたくさんありますが、当社は通常の業務時間を維持することで差別化を図っています。

当社の職場には素晴らしい雰囲気があると思っています。もしかしたら、私の偏見かもしれませんが...。 一般的に、入社してくる人々は何年も当社に留まります。当社の離職率はとても低いのです。

新しく開発されたキングス・クロス駅 [ロンドン北部にあり、英国の北部と都市を結ぶ主要鉄道ターミナル]近隣地域のビル1階に所在するオフィスは、天井が高く広々とした素晴らしい空間です。当社がここに越してきて5年になります。少なくとも後5年はこの場所で運営を続けたいですね。

 

AMD:業界で次に来る大きな波は何だと思われますか?

BN氏:リアルタイム・レイトレーシングと言っても、言い過ぎではないでしょう。 現在のアルゴリズムは効率が悪く、ハードウェア需要は非現実的です。周知の通り、美しいスター・ウォーズストームトルーパーのデモ6万ドルのGPUを使用して実施されました。最近見かけるデモは、リモートでMonte CarloやPath Tracerアルゴリズムを完璧に活用した規模のものではありません。レイの話題が、少なくとも1000分の1、いや100万分の1に減っています。しかし、これが出発点です。10年後にはコードが改善され、今日6万ドルのGPUに相当する性能を備えるハードウェアがおそらく200ドルくらいで入手できるようになるでしょう。

 

AMD:バーチャル・リアリティにはどのような影響がありますか?

BN氏:建築ビジュアライゼーションにおいては、バーチャル・リアリティは未だその足場が固まっていない状態です。当社が手掛けた直近の5つのVRプロジェクトは、それぞれが非常に異なっています。当社のクライアントは、自社に最適なものを把握する過程にあります。そのため、ルームスケールをセットアップしたり、厚紙のゴーグルにスマートフォンを設置したりするなど、当社は少しずつすべてのことを試しています。

最近でも、3DモデリングにおけるVRのアプリケーションはあまり見かけません。3D空間のモデリングと言えば聞こえはいいですが、1日中ヘッドセットを着用していられますか?1日中コンピューターのスクリーンを見ているだけでも辛いのに、ヘッドセットは眼球から5センチしか離れていないところに画像が映し出されるわけです。

しかし、私の予測が全く当たらない可能性もあります。1980年代にまだ学生だった私は、マウンテンバイクは一時的な流行に過ぎないと予測していました。これでおわかりでしょう。

Glass Canvass architectural image - Vauxhall
Glass Canvass architectural image - Vauxhall
脚注

Glass CanvasはAMDの貴重なお客様です。Glass Canvasの見解は同社独自の意見であり、AMDの位置付け、戦略、または意見を表すものではありません。Glass Canvasが述べたベンチマークまたは性能に関する記述は、AMDにより検証されたものではありません。第三者のサイトへのリンクは便宜上提供されているもので、明記されていない限り、リンク付けされたサイトの内容に関して、AMDは一切の責任を負わず、また支持を意味するものでもありません。 GD-5

©2018 Advanced Micro Devices, Inc.All rights reserved. AMD、AMD Arrowのロゴ、Ryzen、EPYC、Threadripper、Radeon、およびその組み合わせは、Advanced Micro Devices, Inc.の商標です。本書に使用されているその他の製品名は識別目的のみに使用されており、所有するそれぞれの企業の商標である可能性があります。 GD-28