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- 宇宙アプリケーション向けに高帯域幅信号処理とAI推論を実現する、耐放射線デバイスVersal AIコアを来年初頭に初出荷

AMD(米国本社:米カルフォルニア州サンタクララ、社長兼CEO:リサ・スー)は本日、同社初の宇宙グレードVersal™適応型SoCのクラスB信頼性評価を完了したことを発表しました。XQR Versal™ AIコアXQRVC1902デバイスは衛星/宇宙アプリケーション向けに、完全な放射線耐性、AI推論の高速化、高帯域幅の信号処理性能を提供します。今回の米軍仕様MIL-PRF-38535規格におけるクラスB信頼性評価の完了により、2023年初頭から同デバイスの出荷を開始することが可能になりました。

耐放射線XQR Versal AIコアXQRVC1902デバイスにより、宇宙での高度なオンボード・データ処理とAI推論を実現するアプリケーションにおいて、大きな飛躍がもたらされます。これまで、高度に複雑なAIアプリケーションは、カスタム設計されたASICでしか実行できず、ASICはほとんどの宇宙プログラムにおいて非常に高価なコストとなっていました。

ASICとは対照的に、XQR Versal適応型SoCは開発中だけでなく、宇宙空間の厳しい放射線環境での飛行中を含め、展開後の再プログラミングをサポートします。これにより、衛星運用者は衛星の打ち上げ後でも処理アルゴリズムを変更することが可能となり、リモート・センシングや通信アプリケーションにおいて、これまでにはなかった柔軟性を提供します。XQR Versalの耐放射線性は、AMDおよび独立機関による試験において、地球低軌道から地球静止軌道、さらにその先の軌道までのミッションをサポートできることが確認されています。

Raytheon Intelligence & Space社のスペースシステム担当シニア・ディレクターであるバリー・リウ氏は、次のように述べています。「様々な放射線環境においてもチップ性能と高い品質レベルを発揮することから、Raytheon社ではXQR Versal適応型SoCを次世代宇宙用プロセッサーのベースとしています。そのヘテロジニアス演算機能と再構成可能なロジック・ファブリックにより、当社のチームは、より多くのオンボード処理をかなり小さなフットプリントで統合することができるでしょう。これにより、システムレベルのSWaP(サイズ、重量、消費電力)において、前例のない進歩を実現することが可能になります。」

7nm Versal適応型SoCアーキテクチャー

XQR Versal AIコア適応型SoCは、ヘテロジニアス演算プラットフォームにおいて、高度な信号処理とAI推論機能を提供します。このデバイスは、デュアルコアArm® Cortex-A72およびデュアルコアArm Cortex-R5組み込み用プロセッサー、400個のAI/ML演算エンジン、約90万個のロジックセル、および191Mbメモリーを備えており、そのすべてが7nm CMOSプロセスで生産されるとともに、ネットワーク・オンチップで接続されています。

開発者は、AMD Xilinx Vivado™ツールスイートおよびVitis™ AIソフトウェア・プラットフォームを使用して、RTL、CおよびC++、Matlab、Caffe、TensorFlow、PyTorchなど、さまざまな開発者ツールや業界標準フレームワークからXQR Versalデバイス用のデザインを作成することが可能です。

AMDの航空宇宙/防衛バーティカル・マーケット担当シニア・ディレクターであるミナル・サワントは、次のように述べています。「今回のクラスB信頼性評価完了は、宇宙向けの高度プログラマブル・ソリューションの導入において、重要な節目を迎えるものとなります。我々は、Versal適応型SoCのクラスB信頼性評価完了を早めることを優先すると同時に、宇宙で使用するデバイスの信頼性評価のために必要なテストと分析において、徹底的かつ厳格な手法を採用しました。お客様からの宇宙グレードVersalデバイスの受注を予定できることを楽しみにしています。」

AMDのクラスB信頼性評価および生産テストフローは、モノリシック集積回路の信頼性評価およびテストに関する米国防総省のMIL-PRF-38535クラスB仕様に基づいており、AMDがXQR Versal宇宙グレード製品に使用している高度有機パッケージ向けに適合させたものです。

参考情報:

AMDについて

AMDは、ハイパフォーマンス・コンピューティング、グラフィックスと視覚化技術において50年以上にわたり革新をもたらしてきました。世界中の何十億人もの消費者、フォーチュン500企業、最先端の科学研究機関が、日常の生活、仕事、遊びを向上させるために、AMDのテクノロジーに頼っています。AMD社員は、可能性の限界を押し上げる高性能で適応性の高い製品開発に注力しています。日本AMD株式会社は、AMDの日本法人です。AMDのさらなる詳細については、AMDのウェブサイトFacebookまたはツイッターをご覧ください。

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