概要
Dynamic Function eXchange (DFX) は、システム全体を停止させることなく、デザインの一部を動作中に変更できる革新的な機能です。DFX を活用することで、柔軟なハードウェア アクセラレーションやオンザフライでのシステム更新、設計のコラボレーション、フォールト トレランスなど、これまでにない設計手法や機能が実現可能になります。Dynamic Function eXchange は、20 年以上にわたり論理リソースの柔軟性を最大限に引き出してきたパーシャル リコンフィギュレーション (PR) から進化した技術です。
- 堅牢なデザイン フロー
直感的な設計手法と、幅広いデバイスへの対応 - インプリメンテーションを容易にする IP ブロック
配置、リコンフィギュレーション、デバッグを容易にする基本的な構築ブロック - 高度なユース ケース
DFX テクノロジを活用して、高速コンパイルやチームベースの設計が可能
機能
DFX IP
AMD は、Vivado Design Suite において Dynamic Function eXchange (DFX) を実現するための 4 種類の基本的な IP コアを提供しています。
- DFX Controller IP コアは、ユーザーがカスタマイズ可能なハードウェア/ソフトウェアのトリガー イベントにより、最大 4096 個のモジュールに対するリアルタイムの再構成をインテリジェントに制御します。
- DFX Controller IP の機能は FPGA ベースの DFX デザインでのみサポートされます。SoC ベースの DFX デザインは、PS 上のソフトウェアから管理できます。
- DFX Decoupler IP コアは、モジュールの再構成中に発生する予期しない動作から、デザイン全体を論理的に分離します。
- DFX AXI Shutdown Manager IP コアは、モジュールの再構成中に発生する可能性のある誤ったトランザクションから AXI インターフェイスを分離します。
- DFX Bitstream Monitor IP は、DFX で使用される FPGA のパーシャル ビット ファイル向けの強力なデバッグ ツールです。ストレージからコンフィギュレーション エンジンまでのパーシャル ビット ファイルをトレースできるため、リコンフィギュレーション前にエラーを検出して対処できます。
高度なユース ケース
抽象化シェル:
Vivado Design Suite は、すべての UltraScale+ および Versal デバイスに対する抽象化シェル デザイン フローをサポートしています。抽象化シェルを用いたデザイン フローは、多くのデザインにおいてコンパイル時間とメモリ使用量の削減に貢献します。
- 高速コンパイル
- 抽象シェルを活用したインプリメンテーションは、コンパイル時間とメモリ使用量を大幅に削減できます。詳細は、WP533 を参照してください。
- 設計コラボレーション
- 抽象化シェルを活用する設計では、スタティック領域を難読化することで機密性の高い IP を隠すことができます。外部設計者はその情報にアクセスすることなく、ダイナミック領域の機能開発が可能になります。これにより、設計コラボレーションのセキュリティが向上します。
- また、動的ロジックはスタティック領域にある IP と連携して動作できますが、その際に IP のライセンス チェックは行われません。
- (注記: 該当する IP を再配布する権利を保有している必要があります)
Tandem コンフィギュレーション + DFX:
Tandem コンフィギュレーションは、Vivado Design Suite の機能であり、デザインのビットストリームを 2 段階に分割することで、UltraScale、UltraScale+、Versal デバイスが PCI Express® 規格に対応できるようにします。
- PCIe® アプリケーションの柔軟性
- スタンドアロンの Tandem コンフィギュレーションと異なり、UltraScale および UltraScale+ デバイスでは、初期の 2 段階構成の後に任意の数の動的イメージを繰り返し再構成することが可能です。
- ビットストリーム転送の柔軟性
- DFX 向けのパーシャル ビットストリームは、QDMA を介した PCIe® 経由のほか、PCAP、MCAP、ICAP などのさまざまなコンフィギュレーション ポートを通じて転送することが可能です。