Chaos、V-Ray での AMD GPU レンダリングでアーティストを支援
V-Ray の GPU レンダラー エンジンが AMD 対応になったことにより、ユーザーは受賞歴を誇るこのレンダラーで制作ニーズに最適なハードウェアを選択できるようになりました
V-Ray は CG 業界の 1 分野ではなく 2 分野で最も影響力のあるレンダラーの 1 つです。Chaos の受賞歴のあるこのソフトウェアは、映画やテレビ番組の VFX 制作に使用されてきました。それらの作品には『アベンジャーズ/エンドゲーム』、『ゲーム・オブ・スローンズ』、『The Last of Us』などがあります。また、建築の専門家を対象とした調査において、建築のビジュアライゼーションで最も広く利用されているレンダラーとして常に挙げられています。1
そして今、V-Ray はユーザーの多様な要求に合う幅広いハードウェアをサポートしています。その CPU レンダリング エンジンは、AMD Ryzen™ Threadripper™ プロセッサのようなハイエンドのマルチコア CPU の恩恵を既に受けていました。一方で Chaos は、オープンソースの HIP フレームワークを活用し、これまでは NVIDIA の GPU 専用だった V-Ray の GPU レンダリング エンジンを AMD の GPU にも対応するようにアップデートしました。HIP の使用により、あらゆるタイプのアーティストが制作ニーズに最適なハードウェアを選択できるようになりました。これには、高性能で手頃な価格の AMD Radeon™ PRO W7000 シリーズ GPU と、市場に変革をもたらす AMD Ryzen AI Max+ プロセッサが含まれています。
V-Ray: AMD CPU で完璧なパフォーマンスを実現
V-Ray の CPU レンダリング エンジンは、超高解像度の建築パースや、最終品質の複雑な視覚効果のレンダリングなど、非常に負荷の高いタスクに使用されており、AMD のハードウェア上で見事に性能を発揮しています。2026 年 5 月の時点で、Chaos が公開している V-Ray Benchmark で報告された上位 15 件のスコアはすべて AMD CPU によるもので、その中には 96 コアの Ryzen Threadripper™ PRO 9995WX も含まれています。2
「Threadripper CPU は素晴らしい」と、Chaos の CTO であり V-Ray の共同制作者である Vladimir Koylazov 氏は熱く語ります。「プロフェッショナルなビジュアライゼーションにおける CPU レンダリングに、これ以外の選択肢はありません」
V-Ray: AMD GPU で新しいワークフローを開拓
V-Ray のハイブリッド GPU/CPU レンダリング エンジンである V-Ray GPU には、大きな課題がありました。以前のバージョンのエンジンは、インタラクティブなビジュアル プレビューや最終品質のレンダリングに使用されていましたが、独自仕様の CUDA API に依存していたため、Windows ユーザーは NVIDIA のグラフィックス カードしか使用できませんでした。コードの複雑さを考えると、ほかのハードウェアをサポートするために別のコードベースを作成し維持することを、Chaos として正当化するのは困難でした。
その解決策が HIP (The Heterogeneous-Compute Interface for Portability) でした。OpenCL のようなフレームワークとは異なり、オープンソースの HIP ツールキットを使用すると、開発者は既存の CUDA アプリケーションを移植して AMD GPU 上で動作させることができます。新しいコードベースを作成して維持する必要はありません。
HIP を活用することで、Chaos は V-Ray の AMD GPU レンダリングを実現できました。その最初は V-Ray for 3ds Max でした。そして V-Ray は現在、プロフェッショナル グラフィックス ワークステーション向けの最新の AMD Radeon PRO W7000 シリーズ GPU や、コンシューマー向けの AMD Radeon RX 9000 シリーズ GPU を含む、最新世代の AMD GPU をサポートしています。
Chaos の GPU レンダリング担当シニア プロダクト マネージャーである Muhammed Hamed 氏によると、AMD GPU はその初期リリースにおいても V-Ray GPU で「競争力のあるパフォーマンス」を提供するとのことです。
Chaos のテストにおいて、AMD Radeon RX 9070 XT GPU は、テクスチャにアウト オブ コア レンダリングを必要とするシーンにおいて、NVIDIA の同等品である GeForce RTX 5080 よりも最大で 2.4 倍高速でした。そのようなレンダリングは、都市規模の建築ビジュアライゼーションのような極めて負荷の高いプロジェクトでよく見られるものです。3
AMD: あらゆる規模のスタジオに優れたコスト パフォーマンスを提供
「HIP で V-Ray GPU を活用すれば非常に効率的に作業できます」と語るのは、多分野で活躍し、受賞歴を持つ CG アーティストであり、V-Ray for 3ds Max の GPU レンダリングをテストした Gary Davis 氏です。「有効にすると、私のワークステーションの 2 枚の AMD グラフィックス カードは両方とも使用率 100% で動作します」
Davis 氏は 3ds Max と V-Ray の両方を 20 年以上使用しています。そのうち 9 年は 3ds Max の開発元である Autodesk の技術スペシャリストとして働き、3ds Max Master の称号も授与されています。現在は、Dell、HP、Lenovo などのクライアントを擁する独立したアーティスト兼コンサルタントとして活動しており、建築ビジュアライゼーションから米国のエレクトロニック アーティスト Jennifer Place のミュージック ビデオまで、制作に V-Ray を使用しています。
Davis 氏の主力となる制作マシンは、AMD Ryzen Threadripper™ PRO 5975WX CPU と 2 つの AMD Radeon PRO W7900 GPU を搭載した Dell Precision 7865 ワークステーションです。AMD の 3 つの演算エンジンによる総合的なパワーと、HIP で動作する V-Ray GPU がそれらを効率的に活用できることにより、社内のレンダリング ネットワークが不要になりました。
「[V-Ray GPU のパフォーマンス スケーリングは] ほぼリニアで、HIP は CPU と GPU の両方をサポートしているため、32 コアの Threadripper を処理に加えることができます」と Davis 氏は言います。「文字通り、1 台のマシンがレンダリング ファームに匹敵する存在になりました」
外出先での作業の場合、Davis 氏は AMD Ryzen AI Max+ 395 プロセッサを搭載したタブレットを使用しています。市場に変革をもたらすこのアーキテクチャは、128 GB のメモリを CPU と GPU 間で動的に共有するものであり、極めて大規模なプロジェクトでも GPU 上でのレンダリングが可能です。
「モバイル性を維持しながら、最大 96 GB のグラフィックス メモリを使用できる Windows プラットフォームはほかにありません」と Davis 氏は言います。「ハイエンド GPU 1 つに匹敵するパフォーマンスを備えているので、3D コンテンツを簡単に作成したり、合成や編集の作業をしたりできます。そして、非常に重いレンダリング タスクの場合は、プロジェクトを Threadripper ワークステーションに移します」
Davis 氏が AMD のハードウェアを選んだ主な理由の 1 つは、ほかのメーカーの同等価格のプロセッサよりも性能が優れていることです。「1 人ですべてやっているので、1 ドルも無駄にできません」と言います。「独立系スタジオから大手デザイン会社や VFX 企業まで、あらゆる規模のエンドユーザーが AMD の優れたコスト パフォーマンスを享受できます」
V-Ray と AMD: 完璧なパートナーシップ
Chaos は HIP を活用して V-Ray GPU を AMD プロセッサに対応させたことで、アーティストたちに、ソフトウェアが動作するハードウェアだけでなく、自身の制作ニーズに最適なハードウェアを選択する自由を与えました。
「V-Ray GPU における AMD GPU のサポートは、レンダリング システムの構築方法に高い柔軟性を求めるユーザーにとって、重要な前進です」と Muhammed Hamed 氏は言います。「V-Ray GPU での AMD GPU レンダリングは、信頼性が高く、実用的かつ魅力的な新しいハードウェア パスをアーティストに提供します」
Chaos は現在、AMD GPU レンダリングのサポートを、Maya、Revit、V-Ray for Blender Community Edition を含む V-Ray のほかのエディションに拡張する計画を立てています。V-Ray for Blender Community Edition は、人気のあるオープンソース 3D ソフトウェアのユーザー向けの新しい無償版です。
Vladimir Koylazov 氏によると、V-Ray ユーザーが GPU レンダリング用ハードウェアを複数メーカーから選択できるようになることは、コンピューター グラフィックス業界全体にも利益をもたらすとのことです。
「これがより手頃な GPU、より高性能な GPU につながることを期待しています」と同氏は言います。「ベンダーが 1 社しかないと、さまざまな問題が発生します。[ハードウェア メーカーが] パフォーマンスを競うたびに、その結果としてユーザーにとってより優れた製品が生まれてきました」
お客様に関する情報
Chaos は 1997 年に設立され、想像的なアイデアを形にできるよう支援する、世界トップクラスのビジュアライゼーションおよびデザイン ソリューションを提供しています。建築、デザイン、メディア、エンターテインメント、商品の E コマースなど、さまざまな業界にサービスを提供しており、使いやすいツールのエコシステムによって設計および制作プロセスのあらゆる段階を支援しています。その革新的なソリューションは、建築家、デザイナー、VFX アーティスト/アニメーターなどのクリエイティブな専門家が、アイデアを共有し、ワークフローを最適化し、臨場感あふれる体験を生み出すのに貢献しています。詳細については、chaos.com をご覧ください。
ケース スタディに関する情報
- 業界:
建築、エンジニアリング、建設
メディア & エンターテイメント - 課題:
カスタマーの選択肢を広げるために、新しいコードベースを作成することなく、以前は NVIDIA 専用だった V-Ray の GPU レンダラーが AMD ハードウェアのパワーを活用できるようにする - ソリューション:
AMD の GPU とプロセッサをサポートできるようにするために、Chaos は HIP (Heterogeneous-Compute Interface for Portability) フレームワークを使用して CUDA コードベースの既存の V-Ray GPU を更新 - 結果:
V-Ray GPU は、ディスクリート AMD Radeon™ PRO GPU と統合 Ryzen™ AI Max+ プロセッサの両方をサポート。タスクによっては、AMD GPU は NVIDIA GPU よりも高性能を達成 - AMD テクノロジ概要:
HIP API とカーネル言語
AMD Radeon™ PRO W7000 シリーズ GPU
AMD Radeon™ AI PRO R9000 シリーズ GPU
AMD Radeon™ RX 9000 シリーズ GPU
AMD Ryzen™ AI Max+ プロセッサ - テクノロジ パートナー:
最新情報を入手
AMD の最新情報を入手
AMD のビジネス向けソリューションに関する詳細情報をご提供いたします。AMD がお客様の組織をどのようにサポートできるかについて、ぜひ当社チームにご相談ください。