創業から続くイノベーション

AMD は 1969 年の創業以来、持続可能性に配慮しながら、革新的で高性能なテクノロジを提供し続けてきました。

現在でも AMD のチームは、性能面でも世界全体に与える影響の面でも妥協しない最先端の技術革新に取り組んでいます。今年、AMD は企業の社会的責任に関する報告を始めてから 30 年の節目を迎えました。これは、サステナビリティの取り組みを重視してきた革新の歴史を裏づけるものです。ここでは、近年 AMD が注力してきたサステナビリティの取り組みと、パートナーの皆さまと共に築く持続可能な未来への道をご紹介します。 

コンピューティング需要の変革期

データセンターの普及と、かつてないほどの AI コンピューティング需要の高まりという 2 つの要因により、顧客は現代のコンピューティングを支えるために、これまで以上に多くの電力とハードウェアを求めるようになりました。このような変化の中、現代の課題にも将来の課題にも対応できる、効率的で持続可能なソリューションへのニーズが一層高まっています。同時に、それらの取り組みが環境に悪影響を与えないことも重要です。AMD は、電力効率に優れたイノベーション、透明性のある企業活動、そして社会的責任への確かな取り組みを通じて、人と地球が共に持続できる未来を支えています。以下はその具体例です。

地球環境を守る AMD の取り組み

AMD は、地球への総合的な影響を改善することに長年取り組んでいます。近年はいくつもの大きな節目を達成し、2030 年に向けては大胆な新目標を掲げています。

  • 事業活動 (スコープ 1 および 2) における温室効果ガス (GHG) 排出量を、2020 年から 2030 年までに 50% 削減するという目標を設定しました。2020 年から 2024 年の間に世界全体の電力使用量が 33% 増加したにもかかわらず、温室効果ガス排出量を既に 28% 削減しています。1
  • 2024 年には、世界全体の電力使用量の半分に相当する 118 GWh の再生可能電力を調達しました。たとえば AMD のサンノゼ キャンパスでは、1.4 MW のソーラー システムと 600 kW の屋上太陽光発電を組み合わせて自家発電しています。
  • 製品に使用する再生素材の割合を高める新たな取り組みを開始し、循環型経済と脱炭素化に向けた戦略を推進しています。
  • 2024 年時点で、AMD の製造サプライヤーの 87%2 が温室効果ガス削減目標を公表し、74% が再生可能エネルギーを利用しています。3、4 
  • 2023 年から 2024 年にかけて、AMD のウェハー製造に使用する水の総量は 12% 減少し、15 億リットルの削減を達成しました。 

リソース面の取り組み以外にも、AMD は製品レベルでの効率化を加速させています。2025 年半ば時点で、30x25 目標5 を上回り、ベース システム比で 38 倍のエネルギー効率を達成しました。この成果は、4 基の AMD Instinct™ MI355X GPU と 1 基の第 5 世代 AMD EPYC™ CPU を使用した現行構成によるものです。6 同等の性能を維持しながら、エネルギー使用量を 97% 削減しています。 

多くの企業がリソース投資の最大化に向けて仮想化を採用している中、AMD はこの分野でも高効率化を実現しています。デュアル AMD EPYC™ 9654 CPU を搭載した 11 台のサーバーで、最大 2,000 台の仮想マシン (VM) をサポートできます。他社の同等構成で同じ負荷を処理するには、17 台のサーバーが必要になります。結果として、サーバー台数を 35% 削減し、3 年間で 29% のエネルギー削減を実現、さらに年次で米国の森林 38 エーカー分に相当する炭素削減効果を生み出しています。7

AI の発展が続き、エンドツーエンドでの完全な AI システム設計へと進化する現在、これまで以上に、電力効率に優れた設計でリーダーシップを維持し続けることがますます重要になっています。こうした背景を踏まえ、AMD は大胆な新目標として、AI トレーニングおよび推論におけるラック単位の電力効率を、2030 年までに 2024 年比で 20 倍向上させることを掲げました。8 この新たな 2030 年目標は、設備統合のあり方にも大きな影響をもたらします。2025 年時点の一般的な AI モデルのトレーニングを基準 (ベンチマーク) とした場合、次のような成果が見込まれます。9

  • 275 台超のラックを、1 台未満の高稼働ラックへ統合
  • 運用時の電力使用量を 95% 以上削減
  • モデル学習時の炭素排出量を約 3,000 メトリック トン CO2 から 100 トンへ削減

人と社会への貢献

より良い世界の実現には、エネルギー効率の改善だけでなく、人を支えることも欠かせません。AMD は、従業員をはじめ世界中の地域社会、そして AMD 製品を生産する労働者の人権を尊重し、すべての人が能力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。 

ここでは、AMD が日々関わる人々と、その成長や生活をどのように支えているかをご紹介します。

  • AMD と AMD Foundation は、フィランソロピー活動やパートナーシップを通じて、STEM 教育、科学研究、そして次世代の人材育成を支援し、最終的に恩恵を受ける人数の目標を 1 億人に設定しています。2021 年から 2024 年の間に、AMD ユニバーシティ プログラムや STEM イニシアチブを通じて 8,410 万人が恩恵を受けました。10 
  • 2024 年には、世界各国で 800 を超える大学、研究機関、非営利団体にコンピューティング技術を提供しました。
  • また、その年には約 40 の非営利団体や教育機関に対し、STEM 関連の追加助成金を提供しています。
  • AMD AI & HPC 基金は、学術研究者や教育者が AMD のコンピューティング技術を活用できるよう支援するプログラムとして、オンプレミス機器の寄贈や AMD クラスターへのリモート アクセスを通じて、社会的インパクトの高い研究と教育を可能にしています。2020 年から 2024 年の間に、総額 3,530 万米ドルを超える市場価値に相当する 30 ペタフロップス超のコンピューティング リソースを提供しました。
  • 2024 年には AMD から 8,100 名を超える従業員が延べ 33,000 時間以上のボランティア活動に参加しました。これは、前年から 43% の増加となりました。
  • 従業員のプロフェッショナルな成長と職場文化の醸成を目的に、5 つの新しいメンタリング プログラムも開始しています。
  • 2024 年には、AMD 従業員の 61% が従業員リソース グループやインクルージョン施策に参加しており、これは前年の 2023 年から 10% の増加です。さらに、2025 年末までに参加率を 70% に引き上げることを目指しています。
  • また、サプライ チェーンにおける強制労働や搾取的労働慣行への対応を評価する KnowTheChain ベンチマークにおいて、AMD は ICT 企業の中で上位 15% にランクインしています。

より良い未来へのコミットメント

コンピューティング パワーへの需要が高まり続ける中で、AMD は "進歩とは地球環境を犠牲にするものではない" ということを実証してきました。野心的な目標であった 30x25 電力効率目標を上回り、さらに 2030 年までにラック スケールでの電力効率を 20 倍に引き上げるという新たな目標を掲げ、イノベーションと持続可能性が両立することを実証しています。現在、AMD のテクノロジは世界の電力効率に優れたスーパーコンピューター上位 20 台のうち 60% に搭載されており、気候変動や医療分野の研究を加速させ、高性能と環境への配慮の両立を支援しています。業界トップクラスの性能は最新のベンチマーク データでも裏づけられており、AMD EPYC CPU を搭載した Frontier や Adastra などのシステムが、ワットあたりの FLOPS 性能で記録的な成果を達成しています。サーバー関連では 500 件を超える世界記録を樹立しました。  

AMD は、パートナーと力を合わせて、人々を支え、地球を守り、世界の課題解決を前進させています。詳細は「AMD 2024 ~ 2025 年度企業責任報告書 (英語版)」でご覧いただけます。

AMD アリーナ


AMD Ryzen™ PRO、AMD EPYC™、AMD Instinct™ などに関するトレーニングで、AMD 製品の知識を深めることができます。

脚注
  1. 報告されたデータには、スコープ 1 および 2 の GHG 排出量が含まれます (基準年は 2020 年)。サードパーティによる検証を受けた AMD の計算に基づきます (限定レベル保証)。
  2. "製造サプライヤー" とは、AMD が直接購入し、直接材料および/または製造サービスを AMD に提供するサプライヤーです。
  3. AMD は、風力や太陽光など、使用しても枯渇しないエネルギー源から得られるエネルギーを "再生可能エネルギー" と定義しています。AMD は、製造サプライヤーが調達する再生可能エネルギーの最低量を目標の条件として設定していません。データは AMD のサプライヤーから提供されたものであり、AMD による独自検証は実行されていません。
  4. AMD の算出結果は、製造サプライヤーから提供された (AMD が独自に検証していない) データに基づいており、サードパーティによる限定的保証を受けています。
  5. 4 基のアクセラレータを搭載した CPU ホスト構成で、AI トレーニングおよびハイパフォーマンス コンピューティングに使用される AMD ハイパフォーマンス CPU および GPU アクセラレータが含まれます。目標値の算出は、標準的なパフォーマンス メトリクスで測定されたパフォーマンス スコアに基づいています。HPC: 4K マトリックス サイズの Linpack DGEMM カーネル FLOPS。AI トレーニング: 4K マトリックス上で動作する FP16 または BF16 FLOPS など、トレーニングに特化した低精度浮動小数点演算 GEMM カーネル。これらのスコアを、CPU ホスト + メモリおよび 4 基の GPU アクセラレータを含む代表的なアクセラレーテッド コンピュート ノードの定格消費電力で割って算出しています。
  6. EPYC-030a: 計算には、次の 2 つの要素が含まれます。1) Koomey Analytics が実施した 2025 年のベース ケースの kWh 使用量予測。この予測は、利用可能な調査およびデータに基づいており、セグメント固有の 2025 年の予測展開量、GPU、HPC、機械学習 (ML) インストールを含むデータセンターの電力利用効率 (PUE) を反映しています。2) AMD の CPU および GPU ノードの消費電力。これは、セグメント固有の使用率 (アクティブ対アイドル) を組み込み、PUE を乗じて実際の総エネルギー使用量を算出し、ワットあたり性能の計算に使用しています。"38 倍" という値は、次の数式に基づいて算出されています。(2025 年のベース ケース HPC ノードの kWh 使用量予測 x AMD の 2025 年における DGEMM および TEC を使用したワットあたり性能の改善率 + 2025 年のベース ケース ML ノードの kWh 使用量予測 x AMD の 2025 年における ML 演算および TEC を使用したワットあたり性能の改善率)/(2025 年のベース ケースの予測 kWh 使用量)詳細は、https://www.amd.com/ja/corporate/corporate-responsibility/data-center-sustainability.html をご覧ください。
  7. SP5TCO-036A: AMD EPYC™ サーバー仮想化および温室効果ガス排出 TCO 試算ツール (バージョン 12.15) を使用した、2023 年 5 月 19 日時点での AMD 社内分析に基づきます。この分析では、1 VM あたり 1 コアと 8 GB のメモリを必要とする仮想マシン (VM) を合計 2,000 台、3 年間提供する場合に必要となるコストとサーバー台数を推計し、2P 構成の AMD 96 コア EPYC™ 9654 搭載サーバーと、2P 構成の Intel® Xeon® 60 コア Platinum 8490H ベースのサーバー ソリューションを比較しています。  これには、ソケットあたり $6,558.32 の VMware ソフトウェアのライセンス コストと、そのソケットで 32 CPU コアが増加するごとに 1 つずつ追加されるソフトウェアが含まれます。このシナリオ中に示される数値は、情報提供のみを目的とした例であり、実際のテストに対する意思決定の基礎としては使用しないでください。その他の詳細については、https://www.amd.com/ja/legal/claims/epyc.html#q=sp5tco-036&sortCriteria=%40title%20ascending をご覧ください。
  8. AMD のロードマップに基づき、2024 年から 2030 年までの各年における AI トレーニングおよび推論向けの AMD ベースの先進ラック構成を想定しています。また、ラック設計上の選択や技術改良に際しては、過去の動向を分析し、将来の目標と整合させています。2024 年のラックは MI300X ノードをベースとしており、Nvidia H100 と同等の性能を備え、2024 ~ 2025 年の AI 導入における一般的な構成を反映しています。2030 年のラックは、その時期における AMD システムおよびシリコン設計の想定に基づいています。いずれのケースでも、GPU、CPU、DRAM、ストレージ、冷却、通信などのコンポーネントを AMD が指定し、各コンポーネントを追跡して、ラック全体の電力特性と性能特性を定義しています。計算には、ラック外の空気または水の供給に使用される電力は含まれていませんが、ラック内部のファンおよびポンプに使用される電力は含まれます。性能向上は、演算出力 (ピーク FLOPS ではなく、提供および持続性能)、メモリ (HBM) 帯域幅、ネットワーク (スケールアップ) 帯域幅の進展に基づいて推定しています。これらは指数として表され、トレーニングおよび推論それぞれに対して、次の係数を用いて加重平均しています。
    性能内訳表
      FLOPS HBM 帯域幅 スケールアップ帯域幅
    トレーニング 70.0% 10.0% 20.0%
    推論 45.0% 32.5% 22.5%
    ラックごとの性能および消費電力の推移は、トレーニングおよび推論における時間経過に伴うワットあたり性能の傾向を示しています。トレーニングと推論それぞれの進捗指数を 50 対 50 の比率で加重平均し、2030 年までの AMD による進展見込み (20 倍) を最終的に算出しました。この性能値は、AI モデルがトレーニングおよび推論の両方で、低精度演算フォーマットを引き続き活用することを前提としています。これにより、実効 FLOPS の増加と、FLOP あたりに必要な帯域幅の削減が見込まれます。https://www.amd.com/en/newsroom/press-releases/2020-6-25-amd-exceeds-six-year-goal-to-deliver-unprecedented.html
  9. AMD は、EPOCH AI のデータ (https://epoch.ai) に基づき、代表的な AI モデルをトレーニングするために必要なラック数を推定しました。この計算では、2025 年の中央値データに基づき、一般的なモデルのトレーニングに必要な浮動小数点演算回数を 1025 FLOPs、トレーニング期間を 1 か月と仮定しています。FLOPs needed (必要な演算回数) は次の式で表されます。FLOPs needed = 10^25 FLOPs/(秒数/月)/モデル FLOPs 利用率 (MFU) = 10^25/(2.6298*10^6)/0.6Racks (ラック数) は次の式で表されます。Racks = FLOPs needed/(2024 年および 2030 年におけるラックあたり FLOPS)AMD のロードマップに基づく演算能力の推定では、2025 年時点で代表的なモデルを 1 か月間トレーニングするには、2024 年モデルの MI300X 製品 (1 ラックあたり 22.656 PFLOPS、MFU 60% を想定) を使用した場合、276 個のラックが必要です。2030 年までの 6 年間に、同一モデルをトレーニングするためのラック数が 276 分の 1 にまで削減されると見込まれます。2024 年のラックを使用して 2025 年の代表的な AI モデルを完全にトレーニングする場合、MI300X システムの電力消費量は約 7 GWh と算出されます。一方、将来の 2030 年の AMD システムでは、同一モデルを約 350 MWh でトレーニングできる見込みであり、これは 95% の削減に相当します。AMD は、電力 1 kWh あたりの二酸化炭素排出係数として、国際エネルギー機関 (IEA) の World Energy Outlook 2024 (https://www.iea.org/reports/world-energy-outlook-2024) におけるデータを使用しました。IEA の既存政策ケース (Stated Policies Scenario) には、2023 年および 2030 年の炭素強度が示されています。AMD では 2023 年から 2030 年までの年間平均変化率を算出し、それを 2023 年の強度に適用して 2024 年の値を求めました (2024 年: 434 gCO2/kWh、2030 年: 312 gCO2/kWh)。したがって、2024 年のベースライン シナリオでは次のように算出されます。7 GWh x 434 gCO2/kWh = 約 3000 CO2 トン。一方、2030 年のシナリオでは、350 MWh x 312 gCO2/kWh = 約 109 CO2 トンとなります。
  10. デジタル インパクトの目標達成期間には、2020 年 1 月 1 日以降に実施され、2025 年 12 月 31 日までに開始された寄付が含まれます。"開始" とは、AMD と寄付先組織が AMD の寄付について合意に達することを指し、寄付は 2026 年 7 月 30 日までに実施されなければなりません。報告されたデータには、AMD が寄付または提供したテクノロジ、資金、ボランティアに直接アクセスできる学生、教職員、研究者を直接受益者とし、AMD の寄付テクノロジを通じて生成された研究データを受け取り、有用な知見や知識を得られる可能性が高い個人を間接受益者と定義しています。AMD は、直接受益者を推定するため、毎年支援先組織を対象に調査を実施しており、AI & HPC 基金については間接受益者も対象に含めています。AMD は、2021 年から 2023 年までの 3 年間の調査回答に基づいて、経済ベースの影響想定モデルを構築しました。このモデルでは、特定の年における寄付の市場価値総額を、その年の受給者調査で報告された間接受益者数の合計で割ることにより、間接受益者の総数を推定しています (直接受益者には適用されません)。このモデルで使用された 3 年間のデータによると、平均比率は 1.08 です。この計算結果から、AMD は、市場価値 100 万米ドルの寄付につき、約 108 万人が間接的に恩恵を受けると想定しています。また、AMD は、1 年目の間接受益者が 2 年目および 3 年目にも新たな個人に波及するものの、その割合は減少すると想定しています。影響減価償却率では、2 年目の受益者は 1 年目の推定値の 50%、3 年目の受益者は 1 年目の推定値の 25% と想定しています。AMD の目標算出は、受益組織から提供されたデータに基づくサードパーティによる検証 (限定的保証レベル) を受けており、AMD による独自検証は実施されていません。また、AMD は受益組織から提供されたデータを用いた経済ベースの影響モデルに基づいています。上記のモデルは、2023 年から 2024 年にかけての AMD ユニバーシティ プログラム (現在は AI & HPC 基金を含む) のデータにも適用されました。

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